ISBN:4575940682 コミック 双葉社 2007/02/28 ¥860
鈴木先生という漫画が面白いという評判を聞きつけて読んでみた。
タイトルからもわかるが、教師ものである。

教師ものの場合、ジャンルが違うにもかかわらず
どうしても比較対照が金八先生になってしまう。
…あれ、おれ金八先生みてないや、比較できないぞ。

金八先生のような、聖人君子のようなイメージで
教師像を作られてしまうと、単なる道徳の授業の延長
ような気がして、見る気が起きなかったのだった。

どこかのレビューにも書いてあったが、鈴木先生は
もっと人間として生々しい感覚を持っている。

では同じ漫画のGTOと比較しようか?
…そういえばGTOも読んでないぞ。
DQNが嫌いだし。あのタイプの
「理不尽な事をする悪党より、さらに理不尽な主人公。
しかし悪党がひどい目にあうことで、結果的に読者の溜飲が下がる」

タイプの漫画も、昔は嫌いではなかったが、だいぶ前に飽きている。

当然、鈴木先生はそのタイプではありません。

ながながと前置きが続いたが、鈴木先生の面白さとは何か?
それは先生が教室内で発生する問題に対し、
真摯に解決のための努力を行う点に尽きる。
(教室で発生する問題が、現実の中学で起きる類のものか
どうかについては、判断が分かれるかもしれない)

教師が教室内の問題に対処するのは当たり前の行為だが
「見てみぬ振り」がほとんどの場合、現実だろう。
「いじめを知りませんでした」なんていう対応に代表される。

まあ、漫画でそのレベルの対応をしてしまっては読者がついてこない。
昔の教師なら
まず問題児を口頭で叱責。それで行動を改めなければ
圧倒的な体力差を背景にした、体罰で解決していた。

最近の先生は体罰禁止のため、問題を解決できる自信がないのだろう。
口頭で叱責することすら出来ない人が多いと思われる。
(生意気な口答えをされるのが見えてるしね)

で、鈴木先生の場合はどうかというと
自分の頭、(および観察)にて問題の本質を理解したうえで
口頭で生徒にも納得がいくような理由で説明するのだ。

先生の言葉には、ルールだから、などというような安易な説明はなく
個々の問題に対する、彼なりの理解、説明が付加される。

鈴木先生は生徒の目線で話したりしない。
あくまでも教師>生徒という立場を貫くのである。
それも態度ではなく、頭を使って考える人として、人生の先輩として
教師>生徒である。

結果、生徒から「生意気な口答え」は返ってこない。

それは、純文学的な言葉を使用する漫画という言い方で
表現できるかもしれない。
(おれは純文学を読んだことはないんだが…まあ、そんな気がする)

最近読んだ漫画で、一番読み応えがあるアル。

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